Aimer新曲『悲しみの向こう側』の歌詞の意味・世界観・メッセージ性を徹底考察

2020年9月7日に音楽活動9周年を迎えたシンガーソングライターのAimerさん。

そんなメモリアルを記念して9月9日に新曲『SPARK-AGAIN』がリリースされ、そのシングルにカップリングされている中の1曲『悲しみの向こう側』のライブ映像が先日配信されました。

ピアノをバックに歌うAimerさんの歌声に、きっと多くのファンが魅了されたことでしょう。

さて、そんなメモリアルを記念して、本記事でも、Aimerさんの新曲『悲しみの向こう側』にスポットを当て、楽曲の魅力や歌詞の意味・世界観、そして、この曲が伝えようとしているメッセージ性を、筆者独自の見解で紐解きご紹介していきます。

ぜひ、『悲しみの向こう側』をより味わい楽しんで聴く参考にしていただければ幸いです。

悲しみの向こう側とはどんな楽曲?

https://www.youtube.com/watch?v=RsEnknXJgPM
出典:YouTube(Aimerofficialチャンネルライブ映像)

テレビアニメ『炎炎の消防隊』の主題歌として起用され、2020年9月9日に発売されたAimerさんの最新シングル『SPARK-AGAIN』

この『SPARK-AGAIN』のカップリングとし収録され、現在『iichiko NEO』のテレビCMソングにも起用されている新曲が、『悲しみの向こう側』です。

シンプルながらロックテイストな印象が強い『SPARK-AGAIN』とは打って変わって、『悲しみの向こう側』は、Aimerさんの真骨頂と言うべき『闇』・『悲しみ』をはらんだダークサイドなバラードソング

感じ方そのものは聴き手に委ねられているところがあるようにも思いますが、涙なしではきっと聴くことのできない珠玉のバラードソングに仕上がっているといって間違いありません。

テレビCMでは大草原に携わるアルパカの映像が印象的でしたが、曲の感じでは同じ大草原であっても、昔懐かしい夕暮れをバックに一人たたずんでいる風景を想像します。

もしかしたら何かの事情で友人や恋人、はたまた大切な家族が遠く離れたのかもしれない。

はたまた、死によって永遠の別れが生じ、別れた大切な人を思い出しながら主人公が昔を懐かしんでいるのかもしれません。

悲しみという一つのテーマをバックに、メロウで涙を誘うメロディラインは、Aimerさんらしさが溢れていて秀逸!

特にサビのところはグッと心にこみ上げてくる何かを感じさせてくれますし、非常に心に響く1曲なので、ぜひ、一度じっくり腰を据えて聴いてもらいたいですね。

故人との別れ新たな出発を描く名曲『茜さす』との相性抜群!

出典:https://ameblo.jp/buscarino/

Aimerさんが歌う名曲『茜さす』もバラードソングなので、曲の印象としては『悲しみの向こう側』と若干テイストは似ているような気がします。

もちろん、テイストが似ているとはいえ、『茜さす』は、故人との別れや新たな人生への再出発を誓う遺された者の誓いがテーマとして描かれているので、悲しみの向こう側の描く世界観とはまた少し異なります。

しかし、意味合いは異なるものの、『死』『哀しみ』を感じさせる何かがあることは、共通しているような気がしますし、曲調が少し似通ってゆったりしているだけあって、二曲の相性は非常に良いです。

ぜひ、二曲を続けて聴いてみてください。

順番はどちらからでも構いませんが、『茜さす』『悲しみの向こう側』の二曲を聴き終えたときには、心が震えて涙がしばらく止まらなくなってしまうと思いますよ。

それほど、他の楽曲にも好影響をもたらす楽曲なので、新曲『悲しみの向こう側』は非常におすすめです。

悲しみの向こう側の歌詞の意味・世界観

出典:https://www.goooodliiiife.com/

2020年8月7日に公開されたAimerさんの9thanniversary記念『悲しみの向こう側』ライブ映像YouTube配信は、実に心に響く素敵なライブ映像でした。

曲そのものの全体像を初めて知ることが出来、

何故この楽曲のタイトルが『悲しみの向こう側』なのか?
そもそも悲しみの向こう側とは一体何か?

といった疑問が筆者自身の中で咀嚼され、一つの答えが見えてきたような気がします。

さて、まだ、歌詞全部が公開されている訳ではないのですが、ライブ映像で筆者が聴き取った歌詞を踏まえて、Aimerさんの新曲『悲しみの向こう側』歌詞の意味・世界観を独自見解で紐解いていきますね。

なお、一応、前もってお話ししますが、今回はライブ映像を観た上で、歌詞を聴き取った中その意味や世界観・メッセージ性を分析しております。

そのため、Aimerさんが意図する世界観と多少食い違っている可能性がありますが、あくまで考察ですので、その点はご容赦お願いします。

悲しみの向こう側に対する主人公の胸中

出典:http://takashimakei.com/

先ほどもお話ししたとおり、『悲しみの向こう側』、聴き手によって曲の感じ方(ニュアンス)は異なります

その点は変わりませんが、少なからず、最大のテーマ『悲しみの向こう側』にいる何者かに対する主人公の胸中が描かれていることに違いないでしょう。

この悲しみの向こう側にいる存在が、天国にいる誰か(死に別れた誰か)なのか、それとも何かの事情で遠い地に離ればなれになった友人・恋人なのか、それははっきりしていませんが、あくまで筆者の印象では前者になるのではと思われます。

というのも、いくつか不自然に思われる歌詞が続き、これはただ遠く離れただけではない何かを含ませているような気がしたからです。

・純粋に意味を追いかけると不自然に感じるフレーズ


まず、冒頭で出てくる『曇った窓の向こう側』というフレーズ。

いきなり曇った窓の向こう側と綴られると、何かもう二度と会えなくなってしまう相手に対する何かというような印象さ感じてしまいます。

筆者としては、窓ガラス(しかも曇った)で主人公ともう一人の誰かとの関係を切り裂くような、そんな閉塞感を感じてしまったのです。

その中で、何故か、

  • 『消えはしない笑顔』
  • 『鮮やかな思い出』

といったフレーズが続いていきます。

さらに、サビの後半で『ふたり歩くあの帰り道も思ったより味気ないもんだね』と綴られていきます。

  • 『消えはしない笑顔』
  • 『鮮やかな思い出』

と綴っておきながら、一方では、二人で歩いて帰っているのに、思ったより味気ないとは実に不思議な光景ですよね。

謎が全て解けた『悲しみの向こう側』の真の意味

出典:https://publicdomainq.net/

今お話ししたとおり、大切な人に対して笑顔や思い出をはっきりさせていると思わせルフレーズが綴られる一方で、味気ないというようなどこか寂しい真逆のフレーズが綴られているAimerさんの新曲『悲しみの向こう側』

喜怒哀楽の全ての感情を複雑に織り交ぜていると言えばそれも一つの心理なのかもしれませんが、パッと歌詞だけを見ていくと、凄く違和感を覚えるのは正直なところです。

しかし、それは、何度も言いますが、何気ない第一印象にすぎず、一見バラバラに感じられるフレーズの一つ一つが、真の意味によってジグソーパズルのように一つに組み合わさっていきます

では、その真の意味とは一体何なのか?

結論から言うと

  • 過去の楽しかった思い出を忘れない
  • これから新たな道をしっかり歩いて行くから天国から見ててね・・・
  • あなたのことを忘れないよ!

という3つの意味が集約されているのではないかと筆者は考えています。

『悲しみの向こう側』の世界観・ストーリー

出典:https://kinarino.jp/

さて、ここからは、その意味をくみ取りながら、筆者が感じた『悲しみの向こう側』の歌詞が描くストーリーをお話ししていきます。

登場人物

  • 主人公(おそらく娘)
  • 彼女の亡き父親

の二人。

幼少の頃、父親とよく遊んでもらった河川敷・・・

そして、その河川敷から帰宅に着くまでの帰り道・・・

彼女にとってはそのどれもが懐かしく心地良い思い出であるに違いありません。

おそらく、小学校から中学校に入る前くらいの時期に、病気か事故によって父は帰らぬ人となってしまったのでしょう。

突然もう会えない寂しさに苛まれ、悲しみ続けていた彼女ですが、成長するにつれて、前に一歩踏み出す勇気を身につけていきます。

そして、大人になり、再び亡き父と歩いた河川敷(帰り道)を歩くと、意外と殺風景でどこか寂しいことに気づく彼女・・・

でも、寂しいながらに、悲しみの向こう側に父がいて自分のことを見守ってくれていると感じ、

『パパ、私幸せになるからね。パパのこと一生忘れない。大好きだよ・・・』

と心に刻みながら、また一歩前に進んでいくのでした。

と、以上が、『悲しみの向こう側』から筆者が想像した世界観(ストーリー)です。

もちろん、これは筆者目線の捉え方(考察)にすぎないので、合っているかどうかは確証が持てません。

そもそも、いろんな捉え方ができるように歌詞が構成されているので、その意味合いは聴き手に委ねられているといって良いでしょう。

ただ、悲しみの向こう側というタイトルの意味も含めて想像すると、

『主人公と対峙するもう一人の人物は、すでに亡くなっている方だと思えてならない』

というのが筆者の考えです。

そして、悲しみの向こう側にあるものとは、

  • 天国に旅立った亡き父
  • 悲しみを振り切って新たな人生を歩み始めた主人公の人生
  • 悲しみという過去の思い出に対するどこか懐かしい郷愁を彷彿するような感情

ではないかと筆者は感じ取りました。

そのように考えると、ダーク系な楽曲でありながら、そっと寄り添う優しさを見せるAimerさんの楽曲らしさが溢れた一曲なんだと、『悲しみの向こう側』を聴いて強く感じた次第です。

悲しみの向こう側が伝えようとしているメッセージとは?


出典:https://publicdomainq.net/

さて、最後に、筆者独自の見解ではありますが、Aimerさんが歌う『悲しみの向こう側』が私たち聴き手に伝えようとしているメッセージについてお話ししていきます。

基本的に『悲しみの向こう側』という楽曲が伝えようとしているメッセージ

  • 無償の愛
  • 忘れないでという想い
  • 『いつもそばに寄り添い見守っているよ!』というメッセージ

3つだと、筆者は考えています。

では、その3つを掘り下げてお話ししていきます。

無償の愛

出典:https://publicdomainq.net/

まず、一つ目のメッセージとして考えられるのは

無償の愛で接することの美しさを伝えようとしてくれているのではないかということ・・・

今回の歌詞の世界観としては、現世で生きる主人公とすでに天国に旅立った父親という関係が感じ取れます。

二人は完全に逢うことが出来なくなってしまいましたが、決して心からも忘れてしまうということはありません。

亡き父はずっと愛娘のことを案じ幸せを願いながら天国から暖かく見守ってくれていますし、娘もふとした瞬間に父を思い出し、心をより合わせています

そこには打算的な愛など一切無く、お互いが無償の愛で絆を深めている様子が色濃くうかがえます。

そして、この二人の関係性を通じて、無償の愛で繋がれることの素晴らしさ・美しさを聴き手一人一人に伝えようとしてくれているのではないかと筆者は考えています。

忘れないでという想い

出典:https://ganref.jp/

人は万能な神ではないので、どんなに頭脳明晰な人であっても時に大事だったはずの何かを忘れてしまうなんてこともあるでしょう。

特に、故人となると、大切な家族ならまだしも、赤の他人ともなると時間と共に忘れてしまうなんてことはよくあります。

私たちが人間である以上全てを永遠に記憶し続けることなど不可能な話ですし、それは仕方の無いことだと思いますが、一方で忘れ去られた者が寂しさを感じることも事実。

だからこそ、『悲しみの向こう側』を通じて、

『私のこと忘れないでね・・・』

といったメッセージが込められているのではないかと思うのです。

もちろん、ここでいうというのは、聴き手と密接した人物の一人を指します。

それがご両親のことなのか、それとも大切な親友のことなのか、それは聴き手それぞれ異なりますが、少なくとも大切な人だからこそ忘れたくありませんし、相手にとってはどんなことがあっても忘れないで欲しいと思うのでしょうね。

『いつもそばに寄り添っている!』というメッセージ

出典:http://gahag.net/

これは、『ポラリス』の楽曲紹介記事でもお話ししたことですが、『悲しみの向こう側』においても、孤独を感じている人に対して『いつもそばにいるよ』と寄り添ってくれるかのような暗示メッセージとして伝えようとしてくれているように思います。

2020年9月9日、音楽サイト『音楽ナタリー』にてAimerさんは『悲しみの向こう側』について、

『「悲しみの向こう側」は自分の曲を昔から聴いてくれている人にも喜んでいただける私らしい曲』

出典:音楽情報サイト『音楽ナタリー』、Aimerインタビュー記事

と語られています。

また、今回のシングルのリリースにおいて、

『私にとって“守りたい”という気持ちはある意味、最上の愛情表現というか・・・』

『例えばの話ですが、もしも自分が子供を産んだら、そのときはきっと、「その子を守るために絶対死ねない」って思うだろうなと想像したんです。』

『新しい命を持つって、それほどの覚悟がいることなんだろうと。』

出典:音楽情報サイト『音楽ナタリー』、Aimerインタビュー記事

という話もされています。

このインタビューを見てもわかるとおり、私たち以上にAimerさん自身が命を大切に捉えている様子がうかがえます。

そして、命の尊さを感じている彼女だからこそ、あえて死という生と隣り合わせにある存在を巧みに使いながら、ダークサイドだけどどこか寄り添ってくれる優しい楽曲として私たち聴き手に贈ってくれているのではないかと筆者は考えています。

命を守りたいという気持ちが、音楽を通じて寄り添う気持ちへと変換し、その想いが、

  • 無償の愛
  • 忘れないでという想い
  • 『いつもそばに寄り添っている!』というメッセージ

というメッセージとして私たちに提供された・・・

そして、そのメッセージを通じて、筆者の目(耳)には、亡き父のことを懐かしみながら、かつて一緒に歩いた帰り道がどこか殺風景に見えて寂しさを募らせるも、父のことを思いながらまた一歩新たな人生を歩み出す娘の姿を映し出してくれました。

ぜひ、みなさん自身も、『悲しみの向こう側』を想像しながら、Aimerさんだから映しだすことの出来る楽曲自体のテイストと歌詞の世界観を味わっていただけたら幸いです。

まとめ

今回は、Aimerさんの新曲『悲しみの向こう側』歌詞の魅力や意味・世界観、そして楽曲から感じられるメッセージ性を、筆者独自の見解で分析し解説させていただきました。

正直、Aimerさんの楽曲の世界観は、聴き手に委ねられる部分も大きいので、人それぞれ聴き手によって感じ方も多少異なりますが、いずれにしてもAimerさんらしさ全開のハートフルなバラードソングであることは存分に感じることの出来る楽曲です。

筆者としては、幼い頃に亡くなった父のことを思い出し、ふと寂しさ・哀しさ・懐かしさを感じながらも、新たな人生を歩もうとしている娘の姿や、そんな娘をいつまでも天国から見守っている父の姿を映し出しているかのように感じました。

みなさんは、『悲しみの向こう側』を聴いて、どんな映像が浮かびましたか?

ぜひ、それぞれの視点でこの楽曲の世界観を想像しながらじっくり味わい聴いてみてください。

きっと心に響く何かに遭遇するはずですし、音楽が私たちに寄り添ってくれていることを改めて痛感するはずですよ。