
ダークな世界観を通じて時に激しく、時に寄り添ってくれる名曲を次々生み出すシンガーソングライターAimerさん。
彼女の楽曲の中でも、OVA『機動戦士ガンダムUC』episode 7「虹の彼方に」』の主題歌に起用された『StarRingChild』は、かなりロックテイストな一曲!
筆者自身、この楽曲のライブ映像をYouTubeで視聴して一気に魅了された思い入れの強い楽曲。
MVを改めて観ると、アートワークも歌詞の世界観も曲調も広大なスケールで描かれかなりロックテイストが盛り込まれた一曲と強く印象に受けますね。
では、『StarRingChild』で綴られる歌詞の意味・世界観とは何か?
またメッセージ性や楽曲の持つ魅力も含め、独自見解ではありますが、本記事で徹底考察しつつ解説していきます。
『StarRingChild』とはどんな楽曲?
現在放送中のテレビアニメ『炎炎ノ消防隊 第2章』OPとして起用されているAimerさんの新曲『SPARK-AGAIN』は、シンプルだけどロックテイストな一曲として、多くのファンから高い支持を受けていますよね。
しかし、彼女の楽曲の中で他にもロックテイストな楽曲は存在します。
その一つが、冒頭でもお伝えした、『StarRingChild』。
この『StarRingChild』は、OVA『機動戦士ガンダムUC』episode 7「虹の彼方に」』の主題歌にも起用されたように、広大な宇宙を一つの舞台として奏でられた楽曲になっています。
この楽曲のMVを観てもわかるように、広大な宇宙をバックに、
『大人に憧れ手を伸ばし続けるも、大人へと成長して行くにつれてどこか無理して自分を偽り、「それでいいのか?」と疑心暗鬼になる子供たちの焦燥感』
を、一つのテーマとして描いた楽曲に仕上がっています。
端的に言って、大人へと早く成長していくために自身を偽ったことへの怒り・憎しみというよりは、
- 自分を偽り嘘や飾りでピュアな自分を変えてしまうことへのモヤモヤ感
- 焦り・もどかしさ
- 「このまま嘘で自身の気持ちを隠し続けて良いの?」と思う不安の感情
など、子供たちの揺れ動く感情を描いていると言った方が好ましいと思います。
この点に関しては、Aimerさん自身も、大手音楽サイト『音楽ナタリー』の特集ページでのインタビュー記事でも答えられていますし、『StarRingChild』一つの世界軸として間違いは無いでしょう。
曲調も広大な宇宙をバックに描くロックテイストに・・・
さて、そんな『StarRingChild』ですが、先ほど触れた音楽サイト『音楽ナタリー』のインタビューの中で、
『「StarRingChild」はそれ以上にタフ。また新しいAimer楽曲に仕上がっている気がします。』
出典:音楽ナタリー・インタビュー特集記事
と話すインタビュアーに対して、
『「RE:I AM」を歌ったことで自分自身ひと皮剥けたと感じられたので、またこうやって澤野さんの激しい楽曲を歌えることはすごく楽しみでしたし、レコーディング自体もわりとスムーズだった気がします。』
出典:音楽ナタリー・インタビュー特集記事
と、Aimerさん自身が答えられているように、Aimerさんの楽曲の中でかなり激しくロックテイストを感じる曲調に仕上がっています。
- イントロから鳴り響く格好良いギターサウンド
- 激しいビートを刻むドラム
これらの要素は間違いなく、ロックテイストの一つと言えます。
もちろん、『StarRingChild』はただのロックサウンドではありません。
- イントロへの導入部で感じさせる神秘的なサウンド
- Aimerさんの歌声とマッチしていく中で奏でられるゆったりしながらもエッジを効かせたメロディ
など、Aimerさんだからこそ奏でられる唯一無二のロックとして『StarRingChild』は非常に楽しめる楽曲となっています。
その点においては、非常に魅力的な部分とも言えますので、ぜひ、注目して聴いてみて欲しいですね。
『StarRingChild』の歌詞の意味

独特の世界観を醸し出しながらそれでいてロックテイストなサウンドを生み出すAimerさんの楽曲『StarRingChild』は実に魅力的な楽曲です。
では、実際に『StarRingChild』の歌詞の意味についても独自見解で解説していきますね。
大人へと成長するために素直な感情を隠してしまった子供の罪悪感・焦燥感

子供たちは、大人の世界にどこか憧れ真似をして、ありのままの素直な自分の感情を隠し、どこか無理して大人の世界に合わせようとしてしまうことがあります。
人に合わせること自体は決して悪いことではありません。
相手を慮るきもちは素敵なことですが、それが自分を偽って(嘘をついて)まで行う行為なのかというと、またそれも異なるように筆者は感じます。
『StarRingChild』に登場する子供たちは、大人へと成長したい気持ちを募らせながらも、大人になるためにいろんなものを我慢し、自身の感情に嘘という蓋をすることで大人の世界に合わせようと無理しています。
そのため、自分を偽ったことで生じる歪みに苦しみに苛まれ、気がついたら純粋無垢だった過去の子供同士の約束さえも破ってしまう自分を知ってしまった・・・
そのことに、子供たちはどこか苛立ち自身を責める気持ちと、それでも大人になりたいと思う気持ちの狭間で揺れ動き焦り始めているのです。
大人ですら、いろんなしがらみに縛られ自分を見失い心がぶれてしまう人が多いのに、子供にブレるなというのは無理な話ですよね。
これから大人へと成長しようとする子供だからこそ、自身を偽ってしまうことへのモヤモヤで気持ちが揺れ動いてしまうのです。
大人へ成長するための嘘・偽りは所詮ノイズ!

子供たちなりに、大人に成長するために何が必要なのか、嘘や偽りも必要なのかと気持ちを揺さぶりながら真剣に考えています。
その結果、子供たちは、嘘や偽りなど所詮ノイズなのだと理解していくのです。
しかし、一度ついた嘘や偽りは、簡単にひっくり返すことなど出来ず、ノイズとわかっていながらも、気がついたら大人に気に入られようと何度も嘘や偽りを繰り返してしまいます。
もちろん、その嘘や偽りに対して、子供たちはかなりの違和感を覚えていることに違いありません。
このざらついた嘘や偽りといったノイズと純粋無垢な子供の心との間で、揺れ動きながら子供たちは生きていると、『StarRingChild』の歌詞で綴られているわけです。
子供たちが導いた答えと未来

『StarRingChild』の歌詞をたどっていくと、間奏後には、
- 手を振らなかった子供たち
- 1秒に詰めた世界
- なぞらえた答え
など、かなり意味深なフレーズが綴られ、それでいて、どんな結末が描かれているのか、正直はっきりしていません。
Aimerさん自身、音楽サイト『音楽ナタリー』の中で、
・『永遠なんてあるわけがないと思っている自分もいる一方で、あるといいなと思っている自分がいることもそうなんですけど、なんにおいても人の気持ちは一筋縄ではいかないんだろうなって思っていて。』
・『悲しみを覚えることができるから、いいことがあったときのうれしさがひとしおになるんだろうし、絶望があるから希望もあるというか。』
・『その相反する気持ちっていうものを一番大切にして作詞するようにしているんです。』
出典:音楽ナタリー・インタビュー特集記事
といった発言をされています。
おそらく、この発言の裏には、『StarRingChild』が描く結末(未来)として、
- 嘘や偽りをなんとか脱ぎ捨て、純粋無垢な気持ちのまま1秒後の未来を生きようとする子供たちの姿
- 嘘や偽りといった大人の汚い世界を知り、その世界をどこか拒みながらも逆らえず、どこか未来に対して過去のものと蓋をして絶望感に苛まれている子供たちの姿
この2通りの世界観を、描いて締めくくっているのではないかと思われます。
そして、その結末(未来)の所在を、聴き手本人に委ねているのだろうと筆者も感じました。
- 永遠・未来
- 過去・終わり
相反する二つの要素を上手く取り入れ、またAimerさん自身がその要素をほどよいバランスで歌い奏でていくことで、どちらの結末(未来)も聴き手が感じられるようにしている点は、『StarRingChild』の最大の魅力ともいえるのかもしれませんね。
ぜひ、この歌詞の意味合いや聴き手が結末を選べる『未来(もしくは過去)の宝地図のありか』を、ご自身で想像しながら『StarRingChild』の歌詞の世界観を存分に楽しんでみてくださいね。
『StarRingChild』が伝えようとしたメッセージ・教えとは?

さて、ここからは、完全に筆者独自の目線でお話ししていきます。
あくまで、Aimerさんの意思とは全く無関係で、筆者が感じ取ったままをリアルに、『StarRingChild』が伝えようとしていると思われるメッセージ性について語っていきます。
他の記事でもお伝えしているとおり、楽曲一つ一つにはそれぞれ裏テーマというか、私たち聴き手に対して伝えようとするメッセージが込められていると、筆者自身強く感じています。
では、Aimerさんが歌う『StarRingChild』にはどんなメッセージが込められているのでしょうか?
未来を知ろうとする子供たちと大人の嘘偽りの世界の正体

何度も言いますが、これはあくまで筆者独自の考えとして聞いていただきたいですが、『StarRingChild』は、
『未来(大人の世界)を知ろうと手を伸ばす子供たちと、その未来で嘘や偽りを繰り広げ損得勘定で生きなければ息苦しくなる大人たちの世界を映し出し、一つの問題定義をしている』
と考えています。
何故、そのように考えているかというと、『StarRingChild』で描かれている子供と大人というのは、一つのたとえに過ぎず、権力を持つ大人(権力者)と何も権力を持っていない子供(弱者)をも指し示しているのではと感じたからです。
僕らの七日間戦争とのリンクも?

筆者自身、『StarRingChild』を初めて聞いて歌詞の意味合いをつかみ取ろうとした際に、何故か、1985年に公開された角川映画『僕らの七日間戦争』を想像してしまいました。
この『僕らの七日間戦争』という映画は、宮沢りえさんが演じたヒロイン・中山ひとみら中学生たちが、大人に対する反発を理由に、廃工場に立てこもり戦い抜いたストーリーが描かれた映画作品です。
『オン・ザ・まゆげ』という流行語も誕生し、大人の身勝手な型にはめた拘束にあらがう少年少女たちの奮闘劇として、多くの人に支持されましたよね。
さて、この僕らの七日間戦争で描かれた『大人の型にはまりたくない子供たちの抵抗』ですが、実は、筆者の目には、『StarRingChild』の歌詞の世界観にリンクしているようにさえ感じました。
では、何故この二つの作品がリンクしているように、筆者の目には映ったのか話していきますね。
無駄な争いを繰り返す人類に対する警鐘

結論から言って、映画『僕らの七日間戦争』と『StarRingChild』の歌詞の世界観がリンクする共通項とは、ズバリ、
『大人の身勝手な損得勘定や決めつけによる子供たちへの縛りがもたらす反発や無駄な争い』
と、筆者は考えています。
確かに両者は、
- 僕らの七日間戦争:完全なる大人と子供との抗争
- 『StarRingChild』:子供たち自身の中でうごめく反発・焦燥感
といったように、テイストは異なっていますが、焦燥感や怒り、理不尽な大人の世界への反発が盛り込まれていることに変わりは無いと考えています。
そして、その怒りや反発・焦燥感は、大きくなるにつれて、爆発したときの被害は計り知れません。
『StarRingChild』の歌詞の世界観としては、あくまで子供たちの中の感情しか綴られていませんので、大きな争いに発展することはありません。
しかし、これが、もし僕らの七日間戦争のように大人と子供の抗争が繰り広げられたとしたら・・・
また、大人・子供が意図するもの自体が違っていて、
- 大人:権力者(国家・会社社長など・・・)
- 子供:権力を持たない弱者(国民や会社の社員など・・・)
を意図していたのだとしたら、話は大きく変わってきます。
何度も繰り返された戦争・テロ行為とその代償
実際に、私たち人類は、この長い歴史において何度も戦争やテロを経験してきました。
特に、
- 湾岸戦争・イラク戦争
- ニューヨーク同時多発テロ
- イギリス・フランスへのテロ事件
に関しては、今の時代の私たちは鮮明に記憶している凄惨な戦争・テロ事件であるはず・・・
確かに、これらの戦争やテロ事件は、多くの犠牲者を生んだ悲しい惨劇に違いありません。
しかし、一方で、その惨劇を生み出しているのも私たち人類のエゴ(身勝手な損得勘定)であることを、私たちは学ばなければいけないと筆者は考えています。
例えば、イラク戦争・湾岸戦争を例に挙げると、イスラム教領域内で、宗教上の派閥問題やら、石油の利権問題やらで確執が生まれ、そこにアメリカ割って入り戦争となりました。
もちろん、それぞれの大義名分はあるかと思いますが、人類が自身の国や文化・宗教、そして、威信を賭けて戦った結果、戦争やテロという大惨事は生まれているのです。
もし、お互いが、それぞれ違う文化や宗教を認め合い、利権争いをすることなく支え合うことをしていたら・・・
純粋な子供のことに培った、人の命を奪ったり傷つけたりしてはいけないという教えを遵守出来ていたら・・・
それこそ戦争なんて起こりえなかったでしょうね。
また、戦争によって後に反発した弱者たちがテロを引き起こし混沌と社会は拡大。
現在もその負の歴史が繰り返されているわけです。
このことを考えても、大人による身勝手な損得勘定(エゴ)は、悲劇を繰り返すだけだと歴史が物語っている・・・
筆者にはそう思えて仕方ないのです。
そして、この負の歴史に待ったをかけるべく、『StarRingChild』が警鐘を鳴らしているのだとしたら、それは、私たち人類に対する大いなるメッセージになると思いますよ。
子供たちには大人の本音はバレている!

さて、話を戻しますが、『StarRingChild』のテーマは、あくまで子供たちの葛藤(大人の世界に入り込むために自身に対する嘘偽りをしたことへの心の揺らぎ)や焦燥感です。
別に戦争を取り上げてあれこれ語っている訳ではありませんし、大人に対する反発心を子供たちが爆発させたわけでもありません。
ただ、嘘や偽りの自分でいなければ大人の世界で生きていけないことを知り、大人の本音と建て前や嘘で着飾る汚れた心を目の当たりにしているのは事実と見て良いでしょう。
そして、大人の身勝手な損得勘定による醜い心(大人の正体)によって戦争という最大の悲劇がもたらせていることもバレていると見て間違いありません。
子供たちを大人のエゴで振り回すと破綻を来す!

先ほど、大人の身勝手な損得勘定による嘘・偽りの世界を子供がすでに見抜いているとお話ししました。
では、そんな嘘・偽りの世界を知ってしまった子供たちはどのような反応を示すのでしょうか?
客観的に見て大きく
- 大人の嘘に拒絶し、間違いを指摘するも足蹴にされ、どこか冷めてしまう(諦めてしまう)
- 大人がやっていることをそのまま真似し、さらなる嘘・偽りを横行させてしまう
といった2通りの反応を示すでしょう。
いずれにしても、大人の嘘や偽りが、未来ある子供たちに悪影響を及ぼし、将来を滅茶苦茶にしてしまうのは間違いありません。
実際に、大人の嘘を見て、子供が嘘をついても大丈夫と平気で嘘をついて我が儘に育った結果、いつしか犯罪に加担してしまうなんてニュースも目にします。
個人的にグレたりちょっとした犯罪で済めば、まだ不幸中の幸いで世界が破綻することは無いでしょう。
しかし、事実、テロ組織に加担してテロが過激化してしまっているわけですし、大人の身勝手な嘘・偽りが、将来間違いなく地球規模の破綻に発展するのは間違いないと思います。
大人は子供たちの見本でもあり、間違いなく子供たちは大人の背中を見てそれを真似しながら成長していきます。
なので、地球規模の破綻行為を子供たちに起こさせないためにも、大人たちが身勝手な嘘・偽りによって子供たちを揺さぶり苦しめないようにすることが大切!
少し耳が痛く大げさに聞こえるかもしれませんが、これが、Aimerさんの『StarRingChild』が私たちに伝えようとしているメッセージではないかと、筆者は考えているのです。
まぁ、そうはいっても今更ながら嘘・偽りを完全に止めようと言ったところで、そんなの無理だという人がほとんどでしょう。
確かにいきなり全部を変えることは難しいですが、無理と諦めて考えることすら止めてしまったら、一向に世の中を変えることなど不可能で、永遠に戦争・テロを繰り返すだけ・・・
そんな悲劇を繰り返さないためにも、ぜひ、大人が身勝手な都合で付く嘘や偽り、勝手な思い込みで決めつける型で子供たちを縛り付けない術を考えてみましょう。
そのことが、『StarRingChild』へのアンサーに繋がると信じて・・・
まとめ
みなさん、いかがでしたか?
今回は、Aimerさんの『StarRingChild』という楽曲の歌詞の意味・世界観やメッセージ性を筆者独自の見解で紐解きご紹介しました。
この楽曲の歌詞には、一つのテーマとして、子供が大人に成長するにつれて嘘や偽りを身につけピュアな気持ちから離れていくことに、どこか焦燥感に苛まれていく姿が描かれています。
しかし、筆者自身は、この楽曲に描かれた大人と子供の関係から、人類が身勝手な損得勘定のために繰り返される戦争に対する警鐘という大きなメッセージ性を感じ取りました。
大人が嘘や偽りを振りかざし、損得勘定で他者を傷つけながら自身の利益を追求した結果、戦争やテロは起きていることは、紛れもない事実です。
そして、その現状から目を覚まして子供の頃のようなピュアな気持ちを取り戻さないと、世の中は破綻を来してしまうと筆者は考えています。
耳の痛い話になりますが『StarRingChild』は、まさにそんな世界に対する警鐘を打ち鳴らしていると思います。
ぜひ、今一度、人としての心のあり方を考えるきっかけとしながら、『StarRingChild』を聴いていただければ幸いです。