
近年、唯一無二の個性を持つアーティストは続々登場してきていますよね。
圧倒的透明感あふれる歌声でファンを魅了するUruさん。
低音かつかすれた声質を存分に引き出し闇を感じさせながら、一方で温もりを与えてくれるアーティストAimerさん。
などなど、挙げたらきりが無いほど個性豊かなアーティストはたくさんいます。
そんな唯一無二のキャラクター性を持つアーティストの一人がロックバンド『東京事変』のヴォーカルも務めている椎名林檎さんです。
では、彼女の唯一無二性とはどんな個性なのか、また彼女の最大の魅力であるアンニュイさとはどういうことなのか、本記事でたっぷりご紹介していきます。
椎名林檎の魅力はアンニュイな声と心揺さぶる音楽テイスト!

皆さんは、椎名林檎さんの音楽を聴いてどのような感想を持ちますか?
椎名林檎さんの楽曲は、明るくはじけた楽曲もあれば、かなりメロウで心ときめかせる楽曲もあり様々ですが、結論から言って、ズバリ椎名林檎さんの魅力とは、アンニュイな声と心揺さぶる音楽テイストにあります。
ここで言う『アンニュイ』とはフランス語の『倦怠感・だるい』という意味合いよりも、カタカナ語で使われる『神秘的・ミステリアス』といった意味合いが大きいです。
ハイトーンでありながら、どこかまったりしていて、けだるさやもの悲しさといった表情に受け取れるときもあれば、逆に活発に受け取れるときもあり、なんともつかみ所が無い謎めいたところが逆に神秘的・ミステリアスと感じさせ魅力的なのです。
例えば、彼女の名曲『本能』にしたって、あれだけ攻撃的な歌詞内容で曲構成も攻撃的なロックサウンドにあるにもかかわらず、どこか女性特有のか弱さも感じさせています。
一つ一つの音の伸ばし方や間やテンポの取り方が、椎名林檎さんならではで、疾走感がある楽曲に対してもゆったり感を潜ませ、超攻撃的とは感じさせない何かを与えています。
この表現に、彼女のハイトーンボイスの中に含まれたかすかなしゃがれた感やエッジの効いた声質が入り交じり、すごく魅力的に聴こえてしまうのです。
筆者としては、これらのすべてを端的に一言で『アンニュイ』と表現しましたが、おそらく聴き手によって、幾通りも感じ方があると思いますよ。
椎名林檎のアンニュイな表現は恋愛ソングで突き刺さる!

先ほど、椎名林檎さんの魅力はアンニュイな歌声と心揺さぶる音楽テイストにあるとお話ししましたが、そのアンニュイな唯一無二の表現は恋愛ソングで突き刺さります。
たとえば、『明治 ザ・チョコレート』のCMソングとして起用された椎名林檎さんの楽曲『おいしい季節』は、世の多くのファンのハートをわしづかみし、心ときめかせた楽曲として大ヒットしていますよね。
どことなく甘ったるいメロディと椎名林檎さん独特の歌い方が、実にアンニュイで、ラブラブ真っ最中(変な意味ではなく純愛という意味で・・・)な二人のチョコのような甘い恋を見事描ききっているからこそ、思わず共感できる楽曲となった・・・
だからこそ、大ヒットとなっていったのだと筆者は考えています。
ロックの力強さはやや落ちるが、女性らしいしなやかさが独特の魅力

椎名林檎さんの声質は、先ほどからお話ししているとおりアンニュイな印象が強く、ノイズミュージックのような極めて激しい音楽には適していません。
また、ロックサウンドそのものをとってしても、X JAPANやHEAD PHONES PRESIDENTのようなヘヴィメタルと比較したらパンチはやや弱い印象を受けます。
しかし、『本能』や『NIPPON』といった激しい曲の中に女性独特のしなやかさを感じさせてくれる点においては、前述のX JAPANやHEAD PHONES PRESIDENTと異なる魅力を感じさせてくれています。
このしなやかさが、聴き手にとって共感を得やすい演出になっていて、どんなにとげとげしいワードで綴ったとしても、嫌悪感にはならないのです。
特に丸の内サディスティックでは、かなり危なっかしいワードも飛び出てきますが、それが嫌に聞こえるファンはほとんどいないはず・・・
ロックでダークでありながら、唯一無二の椎名林檎ワールドとして捉えられているはずですし、その要因こそがアンニュイでしなやかな音楽スタイルにあるわけです。
ぜひそのアンニュイさも感じつつ、椎名林檎さんの音楽の魅力に一度触れてみてくださいね。
アンニュイな音楽スタイルはレトロも演出する!

椎名林檎さんのアンニュイな音楽スタイルは、時にチョコのような恋人たちの甘いひとときを演出し、時に女性らしいしなやかさを醸しだし、ダークな世界観を優しく包み込んでくれたりします。
しかし、彼女のアンニュイな音楽スタイルがもたらす魅力はそれだけではありません。
実は、レトロ感も醸し出してくれるのです。
その代表的な楽曲が、
- 尾野真千子さん主演NHK朝ドラ『カーネーション』主題歌:カーネーション
- 高畑充希さん主演『かんぽ生命 CMソング』:人生は夢だらけ
の2曲ではないでしょうか。

カーネーションは、かなりゆったりしたテンポがまた独特の味わいを醸し出している魅力的な楽曲ですし、一方、『人生は夢だらけ』はかなりアップテンポでジャズのような出で立ちの楽曲となっていますがこちらもかなり魅力を感じる1曲に仕上がっています。
両者は対照的な楽曲ですが、一つ共通しているのは時代を感じさせてくれるという点。
カーネーションはゆったりとしたテンポの中に椎名林檎さんのアンニュイな音楽の世界観が加わりゆったりとした時の流れを感じさせます。
それは時に時代の進化と逆行したレトロ感にも相通じる物を感じさせてくれるのです。

一方、人生は夢だらけは、ジャズのようなテンポと椎名林檎さんのアンニュイさが見事にシンクロし、ジャズがはやった過去の世界にタイムスリップしたかのような錯覚を抱かせてくれます。
- ニューオリンズジャズ
- スウィング
- ドゥワップ
などなど、ジャズがはやった時代の音楽たちが、またよみがえり、かつての音楽の魅力を今の時代の人たちに教えてくれているかのような気がしてなりませんね。
このように、椎名林檎さんのアンニュイな音楽スタイルは、時にレトロな印象をも与えてくれているため、すごく魅力的なんです。
一言でアンニュイといっても、様々な捉え方があり、いろんな魅力がたくさん詰まっているので、なかなか言葉で言い表すのは難しいのが正直なところです。
なので、ここから先は、ぜひみなさん自身で椎名林檎さんの楽曲に触れ、その魅力を体感してみてください。
YOUTUBEやSpotifyで彼女の音楽を聴くのもありですが、ライブなどに足を運んでみるもおすすめ!
きっと、唯一無二の椎名林檎ワールドに酔いしれるはずですよ。
椎名林檎のオススメソング3つをシーンごとに紹介!

さて、ここからは、椎名林檎さんのオススメソングを3つ、これまでご紹介した
- メロウな印象を受ける『恋』
- 椎名林檎にしか出せない時にダークで時にロックな世界観
- レトロを感じさせる音楽
といった3つのシーンに分けて1曲ずつご紹介していきます。
ぜひ、椎名林檎ワールドを体感する参考としてみてください。
公然の秘密
公然の秘密は、オダギリジョーさんが主演を務めた『時効警察はじめました』の主題歌
疾走感の高い楽曲ではありますが、すごくメロウでアンニュイな印象を与える恋模様を如実に描いた魅力的な楽曲。
周囲に知られまいと理性を保ち平然を装おうとしていながらも、異性の誘惑に溺れ完全に恋してしまっている世界観が見事に描かれています。
アンニュイでメロウな恋模様と、この恋が周囲に知られてしまったら終わってしまうかもという不安感がシンクロしながら、どこかしら甘く、そしてビターな恋のバランス感覚は、まさに椎名林檎さんならではの表現といえるでしょうね。
甘い誘惑や恋に溺れていく様や、素敵な異性に恋をしてハッピーエンドを迎えたいと願う一方で、その恋が壊されるのを怖がっている心理模様がいろいろ楽しめますので、ぜひ、一度聴いてみてくださいね。
おとなの掟
『大人の掟』は、
- 松たか子さん
- 満島ひかりさん
- 高橋一生さん
- 松田龍平さん
が出演した2017年のテレビドラマ『カルテット』の主題歌として起用された椎名林檎さんの楽曲。
弦楽器がリズムをきざみながらどこかしら闇を醸し出してくる少し怖い楽曲というのが、筆者の第一印象でしたが、聴けば聴くほどこの独特の世界観に引きずり込まれてしまいます。
それは、明暗をはっきりさせることをどこか嫌ってしまう人間心理に私たちが共感できているからではないでしょうか。
人は誰しも、白黒をはっきりさせることを嫌がります。
もちろん、良いものは良いし悪いものは悪いとはっきりさせないことには、物事の善し悪しをジャッジすることなどできないでしょう。
しかし、人は間違いを犯す生き物であり、常に明暗をはっきりさせていては、間違いを起こした時の心へのダメージが大きくなってしまうばかり・・・
だからこそグレイでありたいと、安定進行を臨む気持ちが大きくなっているのかも知れません。
『大人の掟』は、このような人の持つ複雑な心情を闇(ダーク感)と共に表現しています。
ただ、よりダークで複雑な心理描写として感じるのは、椎名林檎さんのアンニュイな歌声あってのものであり、歌唱力が如何に高かろうとも、他のアーティストではこの闇の表現は難しいでしょうね。
すごく闇を抱えながら、それでいて共感できるところが『大人の掟』の最大の魅力でもあるので、ぜひ、その味わい深いサウンドを、一度体感してみてくださいね。
茜さす 帰路照らされど…
『茜さす 帰路照らされど…』は、椎名林檎さんの隠れた名曲の一つで、サントリー『ザ・カクテルバー オレンジ絞り篇』のテレビCMにも起用されているので、一度聴いたことがあるというひとも結構いらっしゃると思います。
曲も歌詞も短いですが、その短い中に秋の夕暮れだけではなく、
- 寂しさ・切なさ
- 人の心の不安定さ
など、たくさんの物が詰まっていて、すごく奥深く味わい深いものを感じさせてくれる名曲となっているのは言うまでも無い事実。
その中でも、筆者が気になったのは。サビにある
- 『アイルランドの少女』
- 『ヘッドフォン』
というワードです。
ヘッドフォンを耳に当てることによって何が聴こえるというのか、そして、この楽曲に登場するアイルランドの少女は一体何を歌い、ヘッドフォン越しに私たちに向けて何を伝えようとしていたのでしょうか・・・
この部分に、ある種の時空を超えた何か切なさだったりはかなさだったりを感じるのです。
いろいろ考えると、すごく奥の深い楽曲であるということがよくわかります。
ぜひ、その一つ一つをかみしめながら、時の流れと共に、『茜さす 帰路照らされど…』の世界観を体感してみてくださいね。
まとめ
さて、今回は、椎名林檎さんの音楽の魅力と共に、
- 本能
- おいしい季節
- 本能
- カーネーション
- 人生は夢だらけ
の5曲を除いたタイアップソングや隠れた名曲をご紹介しつつ、彼女の持つアンニュイさがもたらす世界観を存分にご紹介して参りました。
基本的に椎名林檎さんのアンニュイさは、
- 恋愛描写
- 闇・ダーク感(切なさやはかなさも含め・・・)
- レトロ感や時空(タイムスリップ的な)
といった要素を想像させてくれる魅力を持ち合わせています。
それも他のアーティストでは決してまねできない唯一無二の存在であり、だからこそ、多くのファンが彼女の語彙力も含めて賞賛し続けているわけです。
椎名林檎さんの楽曲には聴き手の心をわしづかみし引きずり込む魅力がたくさん詰まっています。
ぜひ、その一つ一つをみなさん自身で体感してみてくださいね。